
中世路地裏薬局のスーベニア。
一角獣の角には解毒作用があるとされ、高値で取引された。
粉末にして服用すれば効能あらたか。ゆえに後世医家が好んで紋章や店頭の看板に一角獣を取り入れた。
この愛すべき獣に少しでも興味をお持ちであれば、
クリュニー「貴婦人と一角獣」のタピスリーを是非ご覧いただきたい。
おお、これは現実には存在せぬ獣。
ひとびとはこれを知らず、それでもやはりそのさまよう姿、
その歩みぶり、その頸を、そのしずかな瞳の輝きすらを、愛した。
たしかに存在はしなかった。しかしひとびとはこれを愛したから
純粋の獣が生まれた。ひとびとはいつも余白を残しておいた。
そしてその透明な取っておかれた空間で獣は軽やかに首をあげ、
そしてほとんど存在する必要もなかった。
ひとびとは穀物では養わず、いつも存在の可能性だけでこれを育てた。
可能性こそ獣に大いに力を与えた。
獣の額から角が生まれた。ひとふりの角が。
一人の処女のかたわらにそれはしろじろと寄った。
そして、しろがねの鏡のなかに、そして処女のうちにまことの存在を得たのだった。
〈リルケ「オルフォイスへのソネット」より〉
【サイズ】 缶 W75mm × D75mm × H85mm
【素材】 樹脂(オブジェ)、STEEL(缶)、紙(封入カード)、PVC(透明ケース)
※この商品は塗装を一点一点行っており表面の仕上がりに個体差がございます。ご理解の上、ご注文いただきますようお願いします。